AEDの課題(1)

有効性の高いAEDにも課題があります。明暗がくっきり別れた2つの心肺停止事例があります。ひとつは、愛知県で開催された「愛・地球博」での出来事です。42歳男性の心肺が停止し、突然倒れました。酷暑の中の人ごみ、ストレスがあったのでしょうか。しかしながら偶然居合わせた医学部の学生たちがバイスタンダーとして会場に設置されていたAEDを使用し、心拍が再開、その後の後遺症も無く社会復帰を遂げられたという事例です。これは完全に成功例でしょう。

もうひとつの事例は、野球練習中の男子中学生が、胸部に打球を受けた際に心臓震盪が発生しました。そのまま心室細動へと移行してしまいました。中学校にはAEDが配置されていましたが、その現場には残念なことにAEDを使用できる人がおらず、結局、救急隊到着までの数分間、AEDは使用されず、結果、一命は取り留めたものの、いまだに意識が回復しないという状態なのです。中学生の両親の「AEDがあったのに、使える人がいなかった。AEDを使っていてさえくれれば」という悲痛な言葉が心に深く突き刺さります。まさにその通りです。AEDという装置がを立派になったとしても、それを使いこなせる人を育てなければならないのです。